生活を重視する思想 3
休暇に1か月の給料を費やすのは当たり前・・・
友人同士で情報を交換し、家族でディスカッションをする、それはまさに、休暇をとるために働いているのではないかと思わせるほどの熱心さでした。
・・・そういう意味では、日本・西ドイツでは、背景が全く違うなと思ったものです。
私の体験をお話ししましょう。
私はコーラスが好きで、デュッセルドルフ滞在中は市立音楽協会という、かつてシューマンやメンデルスゾーンが指揮をしたこともある由緒ある合唱団に入るチャンスを得ました。
入ってみるとそのメンバーの構成にはびっくりしたのです。
・・・というのは、実に雑多な職種の人びと、広い年齢層の人びとがそこにつどっていたのです。
しかも、その音楽的な実力には、ドイツ文化の底の深さを感じさせるものがあったのです。
毎年9月、ベートーベンの故郷ボンではベートーベン祭というのが開かれるのが恒例になっていますが、1961年は、東ドイツから合唱団を招へいして「第九」を歌うことになっていました。
ところが、8月にベルリンの壁ができて、計画が実現不可能に陥ってしまったのです。