生活を重視する思想
私が1960年代に西ドイツに行った時、すでに銀行などに勤めて辞めると最終給料の7割が年金支給額になるということをいっていました。
3割だけ少なくなりますが、年をとると税金が安くなるので、手取りはほとんど変わらないで死ぬまで年金が支給される仕組みです。
そこで年金受給者にとっては、インフレが死活問題になってくるわけです。
ところで、日本の住宅はいまだウサギ小屋かもしれないですが、1961年にはじめて西ドイツに行った時、彼らはすでにみんなきちんとした家に住んでいた。
欧米人は概して住まいを大事にしますが、それは、まさに自分の城を築くという感覚が根底にあるからで、政治もこうした国民の生活感情を無視しては納まらないのです。
西ドイツには、物価の安定、完全雇用の実現、経済成長、経常収支の黒字を同時に達成しようとする、いわゆる「魔法の四角形」という理念がありますが、これは、国民の生活を重視する考え方に他なりません。
住居にはじまって、国民の生活に対する配慮が日本とは段違いなのはこの基本に根ざしているからです。
西ドイツでは、ともかく、まず、住宅を充実させるべきだという方針にのっとって、自分で家を建てようとする人には補助金を出すというスタイルで、非常に手厚い補助をして住宅を充実させ、その一方で経済成長も実現しようとしてきたのです。
・・・そこで重視されたのは、バランスということで、ここにも日本との相違が見えてきます。